トッキーチャレンジ Blog

お気楽、ごくらく!

築17年の離れをどうするか?

うちの実家は、平家の母屋と庭、10年以上使われていない倉庫、親父の釣り道具置き場となっているトタンの物置、そして十畳二間にキッチンがついた離れがあった。

母屋、物置、倉庫は、築40年以上でだいぶ傷んでいたため、取り壊しを考えていたが、離れの扱いには悩んだ。

 

離れは、建ててからまだ15年くらいしか経っておらず、妹家族や僕が帰省した時にしか使わないため、建物に痛みもなくとてもきれいな状態であった。父と母も生前、僕が結婚したら母屋は立て直して、離れに自分達が住むような事を言っていたほどまだまだ利用できる状態であった。

 

アパートを建築しようと考え始めた頃も、将来実家に戻った時の住居にするつもりで、離れを残す方向で設計をすすめていた。

 

各社から設計図が出てきたが、アパートの1階の部屋と離れの窓が近接していたり、離れとの距離を考えアパートの部屋数が少なかったりと、離れを残すとアパート建築にかなりの制約が出てくることがわかった。

 

離れの場所が10mほどずれていたら土地を有効に使えるんだけど、、、

 

いろいろネットで調べていると、曳家という技術がある事を知った。

 

曳家とは、

曳家(ひきや)とは、家引きや曳屋とも呼ばれる建物を解体せずにそのまま移動すること。 家やビルやお城などの建築物や樹木などの重量物をそのままの状態で移動する建築工法です。 道路拡張や土地区画整理、敷地有効利用のために別の場所へ移動するために利用します。

 

これが利用できないかと住宅メーカーに見積もりを依頼すると、結構な額が提示されてきた。

離れには風呂がついていないので、将来風呂をつけるとさらに金額は上がり、もし自分が使うとしても、定年で実家に戻ってくる10数年後、その頃にはさらに家の痛みは進んでいる。

 

結局は全てを解体して更地にし、アパートと駐車場にすることに決めた。

 

今考えると勿体無い事をしたという気持ちより、あの時点で解体を判断した事で、住人にとってより住みやすいアパートを建築できてよかったと思う。

 

陣地の確定(1)

アパートを建てるにあたり実地で行う作業が2つある。

一つは地震に関する土地の強度測定とどこまで自分の陣地(自分の正式な土地)かという不動産鑑定士による確認作業である。

 

毎年固定資産税をきちんと支払っているのだから、自分の土地なんか役所に行けばすぐに情報が得られると思ったら大間違いで、土地の権利情報が記載された資料が必要になる。

以前、家の片付けをしている時に、油紙のような紙に書かれた土地の資料が大切に保管されていたのを思い出し、破れそうな封筒を怖々開いてみると、50年近く前に作成された土地と家屋の権利書が出てきた。

 

その書類の写しをC社の営業マン経由で不動産鑑定士に開示し、一緒に隣接する家との境界を確認していく。

 

そこで3つの問題が発覚。

 

一つ目は、僕の家の私道と甲さんの家との境界。

境界として打たれているアンカーが権利書の内容と違うとの指摘であったが、そのアンカーは、もう何十年も前に、甲さんの家と父が、土地の境界で話し合いを行い、その結果、甲さんの主張を飲んで決めた境界で、父が業者に依頼してアンカーを打ったことを薄ら覚えていたので、難なく解決した。昔の手書きの書類のため、うちと甲さんの家の権利書の境界が重なり合っていたことが原因でこれを機に整理しようと言った話し合いだったと記憶している。

 

二つ目の問題は、うちの庭とうちの倉庫と乙さんの家の境界から少しうちの庭に入ったところにある2m四方程度の土地。

乙さんの土地とは完全に離れて、うちの庭の土地であるが、どうやら用水路か何かの関係で乙さんの土地の上にうちの敷地が被っていたらしい。

 

不動産鑑定士と話し合うと、一番いいのは乙さんの家と話し合い、土地を僕が買い取ることであったが、小さな土地のため、売却費用より乙さんが支払う土地登記費用が高くなるだろうとのことだった。

この事を乙さんの家に話に行くと、乙さんもそのことはご存じで、将来何かあった時に正式に移転手続きをしようということになり、乙さんの家の土地部分には、何も建てない事を僕の方から約束した。

 

そして最後の問題が、僕のうちから公道につながる空き地+私道である。

権利書を見るとほぼ僕の名義なのであるが、線のような土地が、僕と2つの親戚の名義になっている。(親戚は父の兄と姉の家で、いずれも祖父から土地を譲り受けている。)

親戚は僕の家の隣とまたすぐ隣で、この土地の経緯を確認すると、公道と結ぶ私道が、他人に渡ってしまい、道路でなくなると、近隣の人が公道に出る手段がなくなってしまうため、そうした事態を避ける目的で3軒の名義になっているとのことだった。この土地をきちんとしておかなければ、将来土地を売る時に苦労するだろうことはわかっているが、父とその兄弟で決めたことなので、そのままにすることにした。

大手住宅メーカーを選んだ理由

今回実家が空き家になってから自宅の郵便受けには様々な土地活用の勧誘広告が入るようになった。

土地の売却から、賃貸住宅建設、サービス付き高齢者住宅の経営と様々。

当時はあまり興味がなかったため、全て燃えるゴミに。

 

また、たまに実家に帰り、家の片付けをしていると、ご近所の方や両親の知り合いがお線香を上げにきてくれる。だいたいいつも話に出るのは、僕の結婚の話(当時はまだ独身だった。)、いつ実家に帰ってくるかの話であった。

 

築50年近い木造のため、床もだいぶ痛みがきており、べこべこの箇所も何箇所かあった。

家に来てくれる人の中には、立派な家なんだから床を少し張り替えて、人に貸したらどう?、いい工務店さん紹介できるわよ。

そこで、曖昧な返事をすると、いつのまにか工務店に、僕が家の修理するところを探しているという話が伝わり、携帯に電話がかかってくる。

まだ決めかねていることを話すと今度は倉庫の解体について提案が。(どこまでこちらのことを知っているんだ?)

確かに倉庫は相当痛んでいて台風の時などは危険なので取り壊すことを考えていた。

見積もりだけでもという事だったので、すぐに取り壊すとは限らないと伝え見積もりをお願いした。

数週間して見積もり業者が来て倉庫をチェックしてもらうと、数日後、アスベストが使用されているので早く解体したほうが良いというコメント付きで見積もりが来た。

見積もり金額の妥当性を知るためネットで検索していると、建物の取り壊しは、個別に実施するより次の建築等と併せて実施したほうが値段の交渉がしやすいという記事を見つけ、結局解体は見送ることに。しばらくして両親の知り合いからせっかく紹介したのに直す気は無いの?と確認の電話。

話が本人抜きに進んでいくのに???の気持ちであった。

アパートを建てようと考え始めた時、何かあった時にすぐ対応してもらえる近くの工務店にという考えもあったが、こうしたしがらみの面倒臭さ、数十年先でも対応が受けられるか?など考えると、やはり大手を選択せざるをえなかった。

また、A社の住宅を建てた妹から、そのサポートの良さを聞いていたのも大手住宅会社に絞ったきっかけになっていたのかもしれない。

リスクを負うのは?

アパートの建築パートナーが決まり、次は銀行との交渉が始まる。

銀行は、自分で借入先を探すのではなく、住宅会社と組んでいる銀行が紹介される。

住宅会社と銀行は強いパイプがあり、あらかじめ決められたシナリオ通りにどんどん話が進んでいく。

今回のアパート建築は、

・親から相続した土地を簡単に売る決心がつかなかった。

・会社勤めのため、アパートで今後の生計を立てようとは考えておらず、年金の足しになればよし。

そうすると、大事なのは借入の返済リスクをいかにヘッジするかがポイントになる。

そこで何度も返済趣味レーションの見直しを行い、火災保険、地震保険に入り、返済前に僕が亡くなった場合の対策として、団信(団体信用生命保険)を利用することにした。

アパート経営を行うような人の多くが相続対策や、余剰資産があるのか、固く固く守りを固める僕らの姿勢が、住宅会社や銀行にとってはレアケースだったのかもしれない。

 

でも、落ち着いて考えると、

住宅会社は建築費は僕が借り入れて一括支払いするので、リスクなしで費用は回収できる。

銀行は僕に対して担保、保証人を設定するので、多少のリスクはあるが僕ほどではない。

住宅メーカーの関連会社である管理会社は、10年間は入居者補償をするものの、その後は賃貸価格の交渉ができ、管理会社の意思で契約を解除できるし、災害による補償はオーナーの負担なのでリスクは低い。

結局サブリースで進める場合はアパートオーナーが一番リスクを負うことになる。

 

それでも土地を手放さないとなると、田舎の場合アパート経営くらいしか選択肢がないのが現実なのである。

 

そんなことを考えていたためか、この後銀行のサービスに対して不満が募っていくのであった。

 

パートナーの決定

3社の住宅会社にコンタクトしてから半年が過ぎた頃、B社は僕が本気でないと見きったのか、徐々にコンタクトの回数が減り、結局A社とC社の2択となった。

 

C社は営業が友達なので、自分の状況を包み隠さず話、提案内容も将来的な家賃の値下がりも(素人の僕からしても)妥当な線で、それを考慮して借入金を抑え返済を早くする硬い提案なのに対し、A社の提案は実家の土地を最大活用した攻めの提案のように思えた。

 

気持ちとしてはC社は自分の会社の関連会社でもあるので、任せてしまえば不義理はしないだろうし、決して無茶な提案ではない。

一方、A社はベテラン営業マンが自信を持って、「アパート経営は借金ではなく投資である(借金は、家賃から毎月差し引いて支払うので負担は大きくない)」。「アパート経営を始めると、10年でこれだけの利益が得られます。自分も土地を持っていれば絶対アパート経営をします」。「このアパートは、自分がこれまで経験してきたことを詰め込んだ集大成で、自信作なんです」。

こういった感じで、イケイケで攻めてきた。

 

3社が提案してきたアパートは、どれも2F建てで外から2Fへの階段が見えないタイプ(部屋ごとに1Fにドアがあり、ドアを開けると部屋ごとの階段がある造り)で、A社が一番高級感があるが、部屋数が6部屋(他の2社は8部屋)。C社は営業さんが自信を持って提案するだけあって、A社に比べ高級感は劣るものの、中はしっかりとした造りといった印象。

 

かみさんと二人ですごく悩みはしたが、最後は現実より夢のある営業トークと、自社の管理会社が地元をサポートしているという点でC社を選択することになった。

 

3社の提案が非常に似通っていたので、そのまま流れに乗ってしまったが、今考えると、3F建てにした場合のコストの違いや、最近ネットでよく紹介されているデザイナーズマンションのようなものも見ておけば良かったと考える事がある。

 

今、古いなぁと思うアパートも建設当時は、その時のニーズに合わせたものだったと思う。今でこそトイレと風呂は分けたいと思うが、数十年目のアパートといえばユニットバスが主流だったし、1Kや1Roomが主流になっており、今人気が高いと言っても2LDK、3LDKの部屋が、将来の高齢化社会でどれだけのニーズがあるのかもわからない。横並びの間取りより、何か尖った間取りがあったほうが長く興味を引くのでは?などと考えることもある。

 

さらに、今はコロナで需要が激減しているが、AirBnBへ提供できる部屋だとか、サービス付き高齢者住宅などといったものも検討しておきたかった。

 

 

 

パートナーとする住宅メーカーが決まったら、後は建てるだけと思ったら大間違い。まだ1つ目のハードルをクリアしたに過ぎなかった。

 

G氏の告白

普段あまり話をしたことのないGさんだったが、飲み会でサシで話をした時、彼の口から出たのは驚きの告白であった。

 

僕:「Gさん、数ヶ月お休みされていましたが大丈夫ですか?」

Gさん:「トッキー君は僕がメンタルが原因で休んでいたと思ってるんじゃない?」

僕:「え、そう聞いていたんですが、、、」

Gさん:「実はさ、」

 

そこからの話は驚きの連続だった。

 

メンタルが原因で休んでいたことになっていたが、実は以前の仕事で自分が低く評価されていることを知り、やっていられないという気持ちになって、メンタルを理由に自主的に会社を休んでいたこと。

休んでいる間に友達とIT企業を立ち上げそこの役員になっていたこと。

そして、同時にいくつかのアパートを購入し、経営をおこなっていたこと。

 

そんな話をいきなり聞かされても信じることできず、あまりお休みには触れられたくないのかな?と考え話題を変えようとすると、

「トッキー君、僕の話信じてないだろ?でもね、会社はトッキー君をうまく使うだけで、トッキー君の生活を最後まで保証してくれるわけでは無いんだよ。今のうちに会社は生活費を稼ぐ場所であって、自己実現を会社に頼ってたら手遅れになることを理解した方が良いよ。」と言われた。

何か見透かされているようで悔しくなり、「Gさん、起業はまぁ規模にもよるのでできるとは思いますが、アパートを買って経営をしているって、Gさんのご実家はそんなにお金持ちだったんですか?」

「いやいや、自分の資金だけでやっているんだよ。僕の収入は、この会社の給与だけではなくて、全部で25戸のアパート、マンションの賃貸収入があるからね。」

「え、その25戸の賃貸物件はどうやって買ったんですか?」

「一度に全てはもちろん買えないよ。30代から不動産投資に興味を持って、ワンルームマンションを購入して賃貸に出し、しばらくしてそれを売却し、中古のアパートを一棟購入し、賃貸に出し、これを繰り返して、結果25戸の部屋のオーナーになって、今じゃ会社の手取りより大きな収入を得ているんだ。」

「これから先も不動産投資は続けるつもりだけど、今の段階で子供を大学に行かせる資金も、老後の資金も概ね目処が立っているんだ」

初めは全く信じてはいなかったけれど、アパート経営の失敗談や、ワンルームマンションの売却益の話や、中古アパートの管理での苦労話などを聞いているうちにどんどん話に引き込まれていった。

 

ちょうど僕自身が会社に対して、任されていたプロジェクトを強制的にクローズされたことで不信感を持っていたこともあり、Gさんの会社との距離の置き方、会社とはちがう仕事へのチャレンジは魅力的に見えた。

サブリースというビジネスモデル

アパート経営をする場合、自分で管理人となり入居者の募集から、修繕まで行うケース、地場の不動産屋と提携して入居者の募集から管理までを委託するケース、そして、アパートを建設した会社の関係会社にサブリースという形式で入居から管理を任せるケースがある。

収益面で考えると、自分で全てやるのが最も良い。が、僕みたいなサラリーマンオーナーができるわけもなく、サブリースで始めることを初めから考えていた。

 

だがしかしである、サブリースを進めるうちに頭がはてなマークでいっぱいになっていく。

 

アパートを建築する会社の関係会社という位置付けの管理会社。

この会社に建築したアパートを貸して、一部屋ごとに設定した貸付金額から管理費用を差し引いた金額がアパートオーナーに支払われる。

 

10年間は部屋に人が入らなくても、毎月貸付金額が支払われる。その後は2年ごとに貸付金額を交渉して都度契約していく。

 

オーナーにとっては管理も任せられるし、入居者の募集もしてくれると良い制度に思えるが、、、

 

アパートの火災保険や地震保険はオーナーが負担する。

退去時の部屋の原状回復もオーナー負担。

 

アパートが新しいうちは独占的に賃貸に使い、10年を過ぎたら賃貸金額を2年ごとに交渉して契約しないこともある。

 

オーナーが投資して建てたアパートを人に貸し出し、家賃とオーナーからの賃貸金額の差額、管理費用を持って行き、オーナーは何かあった時の保険や、原状回復にかかる費用を負担する。

 

何か貸す側が損しているような気がしてならない。

 

住宅メーカーは、管理会社を使うか否かはオーナーの判断とはいうが、やはり素人オーナーはサブリースに頼るしかないんだよなぁー。